リレーエッセイ

リレーエッセイ

Relay essay

リレーエッセイ

第31回 学部10期生/博士前期課程13期生 冨岡小百合さん

移りゆく桜の花模様を存分に堪能し、緑の息吹きに来たる初夏の気配を感じる今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

今回ご縁をいただいてリレーエッセイを担当させていただきます学部10期、博士前期課程13期の冨岡小百合と申します。

今は山形大学医学部附属病院にお世話になっておりますので、在学中も含めると20年、飯田キャンパスの桜で春を感じているのだなと月日の早さに驚くばかりです。

元々、看護師に対して強烈な憧れがあったわけではなく、親からこういう仕事も合うんじゃないかと示されたのと、誰かの役に立ったらいいなという思いで進んだ道でした。低温な志望動機でしたが、人との出会いが私自身を変え、今、看護の世界にのめり込んでいます。時に厳しく親身になって育ててくださった先輩看護師は憧れですし、病める患者の心と身体の治療のために医師をはじめ様々な職種がひとつのチームとして働く楽しさを知りました。が、なんと言っても患者さん達との出会いが私をここまで育てたと思っています。誰でも最初は新人だからと下手な採血に協力してくださった方、自分の信念に従って治療を止める選択をした方。ひとりひとりに物語があり、私は看護師としてどうあるべきなのかと毎日問われているような気がしています。患者さんがぽろりとこぼした退院の不安、疲れ切って泣く泣く病院で最期を迎えることになった家族の後悔を聞くにつけ、もっと何かできたのではないかとジレンマを感じる日々に手を差し伸べてくださった上司や恩師。学ぶ機会を得て、先年在宅看護専門看護師資格を取得できました。学んでいくなかで、訪問看護などの在宅サービスや地域の人とのご縁を繋ぐことが在宅療養支援の本質なのかもしれないと思いました。私自身、縁に活かされてここまで看護師をやってこれた気がします。まだまだ力不足を痛感してへこたれることもありますが、患者さんがいきいきと望む生活ができるようにちょっとだけご縁を繋ぐお手伝いができればと思っています。